福祉・就労などの支援情報

日常生活や社会生活、就労の場面で困難な状況に直面した時には、福祉サービスを利用する方法もあります。いずれも本人や家族(代理人を含む)が申請し、その後、審査・認定やサービスの利用の可否の決定になります。一人で抱え込まず、通院している場合は主治医や院内の医療相談室、もしくは自治体の窓口に相談してみてください。

事前準備~制度を利用する際には条件が付くことがあります。あらかじめ以下のようなことをまとめておくと申請時に役立ちます。
①いつ発症したか ②どのような症状だったか ③診断が確定されたのはいつか ④どのような治療を受けていたか ⑤社会や学校でどのようなことがあったか
 

生活全般の支援制度

障害者手帳について

対象

障害のため長期にわたり、日常生活または社会生活に支障がある人

手帳の種類対象障害
精神障害者保健福祉手帳精神障害、発達障害、てんかん
療育手帳知的障害
身体障害者手帳肢体不自由、内部疾患他

チック症、トゥレット症は「発達障害」に含まれますので、精神障害者保健福祉手帳の申請になります。(知的障害、身体障害との併存の場合はいずれかの手帳を申請することができます。その場合は申請時期や等級の違いがあります)

サービスの概要

障害の程度により1級から3級までの等級があり、等級によって利用できる福祉サービスが異なります。
また、各自治体によってサービス内容が異なる場合があります。詳細は担当窓口でお確かめください。
【手帳取得者が受けられる主な支援措置】
・所得税、住民税の控除、自動車税・軽自動車税の減免、自動車取得税の減免
・JR等の鉄道運賃の割引、減免。航空運賃の割引、バス、タクシー運賃の割引
・NHK放送受信料の全額または半額免除
・有料道路運行料金の割引
・美術館・博物館・動物園などの入場料の割引
など

福祉枠で就労をお考えの場合は、手帳取得の有無で企業の障害者雇用率に影響するため、手帳取得が有利な場合もあります。

<参考リンク>厚生労働省・障害者手帳について

障害年金について

障害年金は疾病または負傷(傷病)によって、一定程度の障害の状態になった者に対して支給される公的年金の総称です。症状や日常生活の困難さにもよりますが、発達障害での受給も認められるようになりました。

年金の種類初診日に加入していた年金の種類等級
障害基礎年金20歳前初診もしくは国民年金加入1~2級
障害基礎年金厚生年金、共済年金1~3級

<参考リンク>政府広報・障害年金の制度をご存じですか?

申請について


・初診日から1年6か月経過した日から申請が可能です。
・20歳前初診の場合は20歳になった日から申請できます。

注:20歳前初診で申請する以外は、20歳以降一定の年金を納めていない場合は受給できません。
注:障害年金を受給しようとする際に、初診日の確認のため診断書や何らかの通院記録が必要になります。医療機関でのカルテ保存の義務は5年間ですので、5年以上前のカルテが無い場合があります。念のため診察を受けた記録になるものを残しておくと助かる場合があります。

申請から受給までの流れ

事前にご自身で関連するホームページで下調べをしたり、受診している医療機関の相談窓口やお住いの地域の自治体の担当窓口に相談し、要件や必要な書類などおおまかな障害年金のしくみを知っておくことをお勧めします。
<参考リンク> 日本年金機構/障害のあるかた

~大まかな流れ~
①年金事務所、自治体の年金窓口(障害基礎年金の担当窓口)で相談し、申請書類をうけとる。
②申請書の記入、必要な書類の準備し所定の窓口に提出
③審査
④結果の郵送~「年金決定通知書等」(約1~2か月後に年金支給開始)
審査が通らなければ、「不支給決定通知書」が届きます。
不支給や認定等級に不服がある場合は、不服申立(審査請求)をすることも可能です。(期限があります)

チック症、トゥレット症は生活上の困難さや障害の程度が文書のみでは伝わりにくい場合もあるのか、不支給になってしまったという方のお話も伺ったことがあります。(その後不服申立で障害年金受給になったそうです)書類の準備や記入の煩雑さもあり、申請まで大変でしたという方もいらっしゃいました。
症状や重症度の幅も広く、生活上の困難さも人それぞれで判断の難しさはあると思いますが、困ったときは所得保障のひとつとして利用を考えてみるのもよいかと思います。

※障害年金の申請や手続きの代行(有料)を請け負う職種として「社会保険労務士」があります。無料相談会や電話相談を行っている団体もありますので参考になさってください。

自立支援医療について(精神科医療費の公的負担)

精神科の病気で治療を受ける場合、外来への通院・投薬・訪問看護などについて健康保険の自己負担のお金の一部を公的に支援する制度です。
通院先が「指定自立支援医療機関」になっているか確認が必要です。指定の医療機関になっていない場合は申請ができません。
※まずは通院先の医師や医療相談室に相談してみてください。
<参考サイト> 自立支援医療/厚生労働省

その他の支援制度

その他の所得保障に関する制度、医療に関する支援制度、住宅に関する制度などがあります。自治体によっても内用や要件が異なる場合があります。各自治体の窓口にお問い合わせください

就労に関する情報

トゥレット症を抱える方々は、重症度や併発症の有無や本人の希望により、以下のような就労形態があ考えられます。当事者の気持ちや働くことの意欲と雇用側の基本的な考えと受け入れ態勢の両方がうまく合っていることが大切です。

就労先・形態備考
一般就労企業・官公庁など
通常の雇用形態
障害者手帳取得なし
クローズ就労※1
オープン就労※2
一般就労(障害者枠)企業・官公庁などの障害者枠
での就労、特例子会社を含む
障害者手帳必要
福祉的就労就労継続支援A型事業※3
雇用型
一般就労が困難な場合
福祉的就労就労継続支援B型事業※4
非雇用型
一般就労が困難な場合

※1 通常の雇用形態で、障害や病気を特に申告しないで就労する場合
※2 通常の雇用形態で、障害や病気をあらかじめ雇用主に申請し就労する場合
※3 雇用契約を結び給料をもらいながら利用する。一般就労を目指す。
※4 雇用契約は結ばず、通所して授産的な活動をしながら工賃をもらい利用する。A型・一般就労を目指す。

雇用形態として表に示したほかに、自分の得意な分野や個性を生かして起業したり、芸術・芸能分野で活躍したり、資格を取得して専門性の高い職業に就いていらっしゃる方もいます。

支援を受けるのに条件があるものもありますが、障害者雇用促進のための様々な支援の施策があります。詳細は下記サイトをご参照ください。まずは地域の関連する窓口やハローワークなどに問い合わせてみてください。

参考サイト 厚生労働省/障害者の方への施策