トゥレット症とは

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[トゥレット症]

* チック(突然に出現し,素早く,繰り返される運動または音声です)で定義される症候群であり,神経発達症に含まれます。多種類の運動チックと1種類以上の音声チックが1年以上にわたり続き,小児期に発症します。
* チックは自然に増えたり減ったりするものですが,心理状態によって影響を受けることがあります。しかし,チックは親の育て方や本人の心がけに問題があって起こるわけではありません。

 [原因]

* 遺伝要因と環境要因の両方が関係しているとされています。
* 大脳基底核という運動の調整に関わる部位を含めた脳内回路の異常が考えられています。
* ド-パミン系やセロトニン系などの神経伝達物質の異常が関係しているといわれています。

[発症年齢]

* 発症年齢は18歳以下とされますが,4~11歳で発症することが多く,特に7歳前後に最もよく認められます。

[併存症]

* トゥレット症によくみられる併存症には,強迫症/強迫性障害,注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害があります。また,睡眠障害,学習障害,自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害,不安,抑うつ傾向,怒り発作などがみられることもあります。

[治療]

* 心理教育および環境調整:本人,家族,教師などの周囲の人々に,障害の特徴を正しく理解してもらい,チックや併存症をもちながらも成長し,社会適応できるように支援することが大切です。

* 薬物療法:心理教育および環境調整だけで解決できない場合には薬が必要になります。薬は,チックだけでなく併存症もふくめたどの症状に的を絞るのか,また,副作用の程度も考慮して選択されます。

* 行動療法:ハビット・リバ-サル(チックと両立しないような動きを身につけます)などの方法がありますが,わが国ではまだあまり普及していません。

* 外科治療:いかなる治療法でも軽快しない難治性のトゥレット症候群に考慮されます。深部脳刺激療法(大脳基底核に電極を埋め込んで持続的に刺激をします)。

[予後]

* 多くの場合,チック症状は,青年期・成人期に軽快します。しかし,少数例ではその後も強いチック症状が残ることがあります。また,チックよりも併存症の方が問題となることもあります。


<参考>

☆トゥレット症の【発達障害としての位置付け】→詳細

☆『チックくせをよく知ってうまくつきあっていけるように』というパンフレットが東大病院こころの発達診療部のホームページからダウンロードすることが可能です。
チックについてわかりやすく説明されています。ご家族、学校、あるいは職場などで理解を深めてもらうために利用いただけたらと思います。

東大病院こころの発達診療部

チックやくせとうまくつきあっていけるようにPDF