教育

【学校における対応】

【1】 基本的な考え方
*一人一人の状態により対応は異なりますが、基本的には通常の学級の中で様々な支援、配慮を受けながら、本人の学習が保障されることが必要です。
*チック症状をからかわれたり、マネされたり、そのことが原因で傷ついたり、いじめられたりすることがないような配慮が必要です。
*チックそのものの状態の改善は、学校での対応だけでは困難です。本人がチックを出さないように努力していたり、そのことでエネルギーを消耗していて勉強どころではなかったりすることが考えられます。そうした、本人の気持ちや背景を担任の先生が理解してあげることがとても大事です。
*チックや様々な症状のために、自己肯定感が低下したり、不登校に陥ったりしないよう、二次的な問題を大きくしないことが学校での対応の基本です。
*チック症状だけでなく、LDやADHDなどの併発する症状について、理解して対応してあげることが必要です。

【2】 周囲の理解

*最も必要なことは、チック症状そのものに対する周囲の正しい理解です。担任の先生のみならず、校内の教職員、クラスの友達、必要に応じて学年や校内の児童生徒全員の正しい理解が必要です。チックは、決してわざとやっているのではないこと、ある程度はコントロールできるが、そのことにはとてもエネルギーが必要なこと、理解して普通に接してほしいこと、などを当該の児童生徒にかかわりが深い人が理解して受け入れ、そのことを周囲に広げていくことが必要です。
*周囲の不理解が本人の自尊心を傷つけることが多くあります。様々な支援も本人にとっては不要と感じることもあります。何でも支援するという発想ではなく、本人の望む必要最小限の支援を行う、という気持ちが大切です。

【3】 環境調整
*チックの状態が悪い時もあります。そうしたときには、当事者は体力を消耗して登校が困難なことすらあります。必要に応じて休息する部屋を確保してあげたり、チックを思い切り出せる部屋を用意してあげたりするなど、様々な環境調整が有効です。
*音声チックは、クラスの他児に影響を及ぼすこともあるので、テストの時には別室での受験を許可するなど、柔軟な対応が必要です。
*学校として、基礎的環境整備がなされているか、一人一人の実態に応じた合理的配慮がなされているか、それぞれの学校の中で評価、検討がされることが望ましいです。一人一人に対する配慮は、その状態に応じてみな違います。そのことを、担任一人で考えるのではなく、校内委員会が機能して、校内全体で検討する体制を整えることが必要です。
*基礎的環境整備や合理的配慮については、国立特別支援教育総合研究所のデータベース(http://inclusive.nise.go.jp/)を活用することもできます。
4】 本人への対応
*本人への対応は、年齢や学年、発達段階に応じて一人一人違います。基本的な考え方としては、本人の望む必要最小限の支援を行うことで、他の児童生徒と同じような学習の参加と機会が保障されることです。それに対して、本人が自律した学校生活が送れるように、本人が努力できる環境を整えることです。
*個別の教育支援計画、指導計画を作成して、意図的、計画的に個に応じた支援を行って、本人の成長を促すことが必要です。